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「40歳以降は、おまけの人生」って!?

ミッドライフクライシス解消に向けてのオンラインカウンセリングルーム「KOKORO保健室」のブログへようこそー

こんにちは。当ブログを訪れてくださり、ありがとうございます。

私は、公認心理師の下地まいこと申します。オンラインカウンセリングルーム『KOKORO保健室』を運営しています。特に、30代後半から50代の女性が直面する心の揺らぎや人生の岐路に寄り添うことを得意としています。中でも「ミッドライフクライシス(中年期危機)」に特化したサポートを行っています。

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ある時、目にした早稲田大学名誉教授・生物学者である池田清彦氏の言葉。
(テレビ番組『ホンマでっか!?TV』などでご存知の方も多いかもしれません😊)

「40歳以降は、おまけの人生である」

この一文に、私は思わず目を留めました。

中年期の心の変化やミッドライフクライシスを専門に扱うカウンセラーとして、この言葉が持つ本質にすぐに引き込まれたのです。

一見ショッキングにも感じられるこの言葉。しかし、よくよく考えてみると、そこには深い意味が含まれていると感じました。

皆さんは「おまけの人生」と聞いて、どう感じますか?

“余った人生”? “価値のない時間”?
いいえ。池田氏の言葉の本質は、そうではありません。

「おまけ」とは、決して“余計なもの”ではなく、「予想外に与えられた、ありがたいもの」そう捉えることで、40代以降の人生に新たな光が差し込むようにも思えたのです。

では、なぜ40歳以降が「おまけの人生」なのでしょうか?

今回の記事は、その理由を生物学的な観点から、そして、中年期を迎えた私たちがどう生きていくかという視点からお伝えします。

「おまけの人生」って、どういう意味?

私たちは子どものころから、「努力すれば未来は開ける」「老後に向けて備えることが大切」と教わってきました。


人生は線のように一直線に伸びていて、若い時期にがんばった人ほど、年を取ってからも安定する─そんな“時間の物語”を多くの人が無意識に信じているのではないでしょうか。

けれど、池田清彦氏はその前提を問い直します。

人間の寿命を生物学的に見たとき、「40歳以降にこれだけ長く生きる」というのは、実は進化のなかでも例外的な現象なのです。

一体どういうことなのか、以下に続けます。

生物学的に見た「40歳以降の人生」

人間の女性は、他の動物と違って「閉経後も長く生きる」特性があります。
ゴリラやチンパンジーなどの霊長類は、繁殖可能な年齢(40歳前後)を過ぎるとほどなく寿命を迎えるのに対し、人間だけがその後も何十年と生き続けるのです。

これは進化の過程で得た、特異な能力。
つまり、人間は「閉経後にも果たすべき役割」を担う存在として進化してきたのです。

そして40〜50代に訪れる「更年期」は、身体と心に大きな変化が訪れる時期ですが、それは新たな役割への移行を示す時期でもあります。

女性の更年期とは、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下していくことで、
さまざまな心身の不調が現れる時期のことですが、この変化は、閉経を中心に前後10年ほどの長い時間をかけて起こります。

面白いのは、更年期の「更」という字の意味。
“緩んだものをピンと張る”という意味があるのだそうです。

つまり、体が一度緩み、揺らぎ、そして新たな張りを取り戻していく
—まさに人生のリセットと再構築のプロセスにぴったりの言葉です。

ミッドライフクライシスは「問い直しのチャンス」

40代・50代は、人生の折り返し地点。

子育ての終わり、親の介護、職場での立場の変化、自身の健康不安…
さまざまな出来事や役割が重なり、「これから自分はどう生きたいのか?」と心の奥底から問いが湧いてくる人も少なくありません。

これが、いわゆる“ミッドライフクライシス(中年の危機)”と呼ばれるものです。

でも私はこれを「危機」ではなく「問い直しのチャンス」だと捉えています。
ここまで「周囲の期待」や「こうあるべき」に応えて生きてきた人こそ、ここからは「自分のために」選び直す時間を得られるのです。

有限だからこそ、命は輝く

池田氏の本の中にある印象的な一文に、こうあります。

「有限だから輝く命」

これは、私たちが40代以降に強く感じ始める実感かもしれません。

若い頃は、「いつか」「そのうち」と先延ばしにしていたことも、
「時間は無限ではない」と気づいた瞬間、目の前の今がいかに貴重かがわかってくるのです。

「すみずみまで隈なく照らされた場所に未来永劫、居続けるとしたら、光を認識することはできません。暗闇と出会ったとき、その対比によって光というものの存在を認識できます。同様に、無限に続く不老不死の世界では、それに対峙する死がないから、生きることを実感できないはずです。死というものの存在があってこそ、生きるということがくっきり浮かび上がって、その輝きが増すのだと思います。」

引用:『40歳からは自由に生きる~生物学的に人生を考察する~』池田清彦:著

有限であることは、何かをあきらめる理由ではありません。
むしろ、選び直す自由と勇気をくれる事実なのです。

「おまけの人生」は再設計のチャンス!

つまり、「40歳以降はおまけの人生」という言葉には、“意味のない余生”ではなく、
「新しい役割を果たすためのボーナスタイム」という前向きな意味が込められているのです。

これからは、「何を失うか」ではなく、「何を選び直せるか」を考えてみませんか?

方法としては、これまで自分を支えてきた価値観や「こうあるべき」という思い込みを、少し立ち止まって見直してみることをお勧めします。

「私は本当はどう生きたいのか?」と問い直す時間は、決して遅すぎることはありません。

例えば、一日の中に必ず、自分の「しっくり」をひとつ加えてみる。そんな小さな積み重ねが、やがて自分だけの納得のいく人生を形づくっていきます。

40歳以降の人生は、あらかじめ用意されたマニュアル通りに進む必要はありません。
むしろ、「私らしさ」を取り戻し、「私のための人生」を再設計する絶好のタイミングです。

「おまけの人生」をどう生きるかは、自分次第!
この貴重な時間を、どうか丁寧に味わっていきましょう。

本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました。