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「中年期は〝人生の正午〟」という表現を聞いたことはありますか?
これは、心理学者のであるカール・グスタフ・ユング氏が提唱した概念です。
ユングは、フロイト(「精神分析の父」と呼ばれる)やアドラー(『嫌われる勇気』でお馴染み)と並び世界三大心理学者の一人です。日本では「ユング心理学」分析心理学、夢分析の主唱者として有名な方です。
ユング博士の考え方は、現代の心理学に大きな影響を与えています。この「中年期は〝人生の正午〟」という概念も、多くの人にとって中年期の心理的な変化を理解する上での重要な指針となっています。
今回は、ユング心理学から「中年期は〝人生の正午〟」という概念を説明します。
Contents
人生を4つのステージで捉えると?
ユング博士は、太陽の動き(日の出から日の入り)になぞって考え、人生を4つのステージに分けて考えました。
・少年期
・成人前期
・中年期
・老年期
の4つです。
さらに2つに大きく分けると、少年期・成人前期が【午前】、中年期・老年期が【午後】ということになります。
それぞれ4つのステージの年齢範囲と、その時期に乗り越えるべき課題は以下のように言われています。
1. 少年期(Childhood)
- 年齢範囲: 幼少期から思春期まで
- 主要課題: この時期は、社会や自分についての基本的な理解を形成する時期です。子どもは親や社会から影響を受け、自己意識を芽生えさせます。ここでは、基礎的な信頼感や自己肯定感が形成され、これがその後の人生に大きな影響を与えます。
2. 成人前期(Youth)
- 年齢範囲: 思春期から成人初期
- 主要課題: 自己のアイデンティティを確立し、社会の中での役割を見つけることが求められます。この時期は、個人が独立性を求め、職業選択や人生の方向性について決断する時期です。同時に、友情や愛情など、他者との関係性が深まります。
3. 中年期(Middle Age)
- 年齢範囲: 約40歳から50歳頃
- 主要課題: 人生の目標達成や社会的な地位の確立が中心となる時期です。しかし、この時期には「ミッドライフクライシス」が起こりやすく、自分の人生の意味を再考する必要が生じます。自己内省と新たな自己探求が重要になります。
4. 老年期(Old Age)
- 年齢範囲: 50歳以降
- 主要課題: この時期は、これまでの人生を振り返り、自己実現の成果を享受する時期です。成熟した視点から自己や世界を理解し、心の平和を見つけることが求められます。老年期では、死や生の意味を受け入れることも課題の一つです。
ユングは、人生の正午は40歳と提唱しました。しかし、人生100年時代と言われる現代においては、人生の正午は50歳前後だと考えられることもあります。
午前から午後へ…最大の転換期
上記で説明したように、人生は4つのライフステージがありますが、ステージから次のステージへそれぞれに移行する時期には「危機」があるとユング博士は指摘しました。
これまでの行動や考え方に変化を求められるのです。簡単に言うと「成長し、大人になる」必要性がでてくるのです。しかし人はそう簡単には変化できません。人は変化を恐れる生き物です。変化には勇気も必要ですし、時間もかかります。それゆえ、ライフステージの移行期においては、様々な葛藤や苦悩が生じます。
その中でも、成年前期から中年期への移行、人生の午前と午後の境目である時期、つまり「人生の正午」こそが、人生最大の「危機」であるとユング博士は考えました。
さきほど、人生100年時代の現代では「人生の正午」は50歳前後であると記載しました。けれど、個人的に私は、人生の正午は40歳を目途にした方が良いように感じています。
なぜなら、誰でも100歳まで生きられるわけではないからです。
それに、100歳まで生きたとしても、体力や知力などをどこまで維持できますか?
「健康寿命」を考えたとき、やはり人生の正午=折り返し地点は40歳前後だと感じます。
残りの人生のプランを考えるときは、「平均寿命」ではなく、元気に活動できる「健康寿命」に目を向けることがポイントです。
「健康寿命」とは…
健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいい、2019(令和元)年の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっています。
引用:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
年齢を重ねていくにつれ、身体の衰えや体力・気力の低下など避けれない問題も増えていきます。また自分自身だけでなく、身近な人との病気や別れなど、人生の正午を過ぎると次々と新たな試練がやってきます。
人生のライフステージにおいては、それぞれの課題があるということを認識し、前もって予測して、準備することも重要ではないかと考えます。
人生の転換期に気が付いているなら…
中年期に入り、最大の危機である時期の訪れを薄々自覚しながらも、今までの行動やパターン、ものの考え方や仕事のやり方を変えられず、この先の将来に不安を感じている方、どうしたらよいのかとモヤモヤとしている方、このまま乗り切れるかも…と楽観的に考えている方、特に自覚すらしていない方と様々な方がいらっしゃると思います。
もしあなたが現在、人生最大の危機を意識しており、モヤモヤと悩んでいるとすれば今が人生において一度立ち止まり、じっくりと今後のプランを計画し、過去の自分と経験と未来の自分を統合させ、人生を再構築していく「機会」なんだと思います。
「一回限りの人生を生きる個人にとって、正午の絶頂から午後の下降を前もって実感を込めて知ることはできない。人生の午後にいる人間は、生の縮小を強いられるのだということを悟らなければならないのである。そして、自己に対して真剣な考察を捧げることが、義務であり必然だとユングはいう。
人生の午後は、午前と同じプログラムで生きるわけにはいかない時期なのである。人生の午後の課題は、自己に対する真剣な考察を捧げ、人生の前半で排除してきた自己を見つめ、自己のなかに取り入れることである。
ユングは、このことを個性化と呼んだ。中年期の転換期ではこのように、生き方や価値観の転換をしなければならないのである。」引用:『人格心理学』(鈴木乙史, 佐々木正宏 編著 放送大学教育振興会
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